実は本日、これから紹介するTFT(思考場療法)の公認アルゴリズム(初級)資格を取得してきました。TFTとは、東洋医学における経絡上にあるツボ(経穴)を指で軽くたたく(タッピング)することによって、恐怖症やトラウマ、不安、依存症や肉体の痛み(疼痛)などなど、およそあらゆる心身のストレス症状を改善できる画期的なテクニックです。しかも、従来の言葉を用いたカウンセリングで長いと数年単位かかる治療期間が、TFTでは早い場合は1回のカウンセリングで回復するだけでなく、その効果が永続する点が驚きです。
TFTはロジャー・J・キャラハン博士という人が発見、開発しました。メアリーという水恐怖症の女性を治療していた際、彼女が水に恐怖を覚えるときに胃の不快感を訴えたのですが、東洋医学の知識もあった博士は思いつきで彼女に胃の経絡の末端にある目の下のツボをタッピングしてもらったところ、それだけで水への恐怖症が嘘のように治ってしまうのを目の当たりにしたのでした。以来、博士はAK(アプライドキネシオロジー)の筋反射テストという手法を用いてさまざまな症状に対応するツボの組み合わせを数多く発見していきました。
わたしが取得した資格はアルゴリズムレベルといって、膨大な臨床データから統計的に効果が確認されたタッピングの組み合わせをレシピ(このレシピをアルゴリズムと呼びます)化したものをマスターして、各症状にあったレシピを選び出してタッピングを行うものですが、さらに上の資格では、筋反射テストや声を利用して診断を行ったうえで個別に適切なレシピを処方できるようになります。ゆくゆくは、わたしもこれらの資格をとりたいと思っています。
TFT(思考場)療法入門―タッピングで不安、うつ、恐怖症を取り除く
- 作者: ロジャー・J.キャラハン,穂積由利子
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2001/12/15
- メディア: 単行本
- 購入: 17人 クリック: 100回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
TFTは日本語では思考場療法といいますが、思考場とはなんでしょうか? わたしがTFTに強く惹かれるのは、その効果の高さと手順の簡単さもありますが、このTFTの理論的な主柱となる思考場という概念に魅力を覚えるからでもあります。
非二元の教師やチャネリングの情報によると、思考やその記憶は脳にあるのではなく、むしろ脳はそうした情報の受信機のようなものである、という考え方もあるようです。わたしもそのようなものであると思っていますが、そうであるとするなら、その情報である思考や記憶はいったいどこからやってくるのか? あるいは、いったいどこにあるのか? ということになりますね。
キャラハン博士は、思考という情報が集まる場所というものがあり、そこにある特定の情報に意識を向けると、それにまつわる特定の記憶や感情が引き出されると考えました。この場所のことを『思考場』と呼ぶのですが、TFTを行うと記憶そのものは変わることなく、それに伴っていた不快な感情だけが消えていきます。ここからこの不快感は思考場にある事実についての記憶そのものがどうこうというより、もっと根底的なその場のエネルギーレベルの問題ではないかと博士は考えたのです。不快な症状は、思考場に『心のトゲ』のようなものが刺さり、エネルギーの乱れが起きることによって発生しているのではないか、というわけです。
ですから、TFTは特定の思考場にチューニング(同調)し、つぼを通じてエネルギーを送りこむことによって、この心のトゲ(これをパータベーションと呼びます)を抜いてやり、エネルギーの混乱を解消し症状を改善するというセラピーであると言うことができます。
ここまでで関心を持たれた方は、ぜひ上記のキャラハン博士の本も読んでみてほしいと思いますが、その前にこれから紹介する『つぼトントン』という本を先に読まれることをおすすめします。TFTはその開発経緯や理論背景など大変興味深いのですが、一方で実際に使ってみないことにはなんの意味もないテクニックでもあります。
『つぼトントン』は日本TFT協会の理事長でもある森川綾女先生の著書で、日本人向けに日本語で書かれたとても読みやすく分かりやすい良書です。『つぼトントン』というタイトルからも分かるとおり、TFTの入門書というよりも、つぼをトントン叩くだけでできちゃう簡単で効果のあるストレスケアを身につけよう! という感じの内容ですので、ほとんどすべての人におすすめできます。
TFTの基本的な手順自体は覚えてしまえばほんの数分でできる簡単なものです。知っていると知らないでは、その後の人生が大きく変わる(もちろん知るとよい方に変わります)と言ってもけして誇張ではないほど効果がありますので、読まないと損です。心のトゲを自分で抜けるようになるということは、苦(煩悩)を減らしていけるということです。つまり、TFTによって意識レベルを高めることもできるわけです。
以下、余談です。
わたしは個人的に、この思考場という概念と、いわゆる氣やオーラという人間が持っているといわれるエネルギー・フィールドは、同じものの異なる側面ではないかと考えています。先日紹介した「ふわっとした氣」というものについて、それが包みこむものはすべて自分と同じ、自分の一部であるという風に説明しました。しかし、それは実をいうと便宜的な説明であって、じっさいには個人の境界線というものは存在しないというのがこの世界の真相です。ですから、ふわっとした氣は本当は、はじめからすべてとつながっています。
しかしながら、そうはいっても現実的に宇宙全体とつながった氣というイメージはあまり使い勝手がよいとは言えません。そこで、エゴの肥大化とは反対方向のベクトルに、「わたし」という感覚を拡大していって全体性と調和するためのツールとして考え出したものがこのふわっとした氣です。
それをふまえて、思考場というものをこのふわっとした氣と統合すれば、自分の氣で包みこんだ範囲内にいる他の人達の心身の問題もTFTで癒せるかもしれないなとわたしはいま考えています。今日習った話では、クライアントが自分でタッピングできないような状況では、セラピストに触れてもらいながらセラピストが自分に対してタッピングを行うことで、クライアントによい影響が出る場合があるということでした。
肉体が触れているというのは見かけのことであって、ほんとうはその時、こころとこころでクライアントとセラピストがつながっているのだと思います。ふわっとした氣も、つながるためのツールです。この発想については、今後さらに考えていきたいと思います。