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パラレルリアリティ(並行現実)についての考察 ―現実は変わり続けている―

前回の記事ではいわゆる「引き寄せの法則」と呼ばれる願望実現法について、それは役には立たないという話をしました。役に立たない、という言い方をしたのは、見かけ上「引き寄せ」とみなせる現象はたしかに起き得るからです。

 

しかしながらそれは、引き寄せの法則の原理として謳われている「同じ波動のものは引き寄せあう性質がある」からではなく、「本人の波動(=意識レベル)が現実に投影される」ことの結果として、願望の対象物を引き寄せているかのように見えることがあるからだ、ということを述べました。ですから当然のことですが、欲しいものが手に入るということが起きる一方で心は満たされず、手に入っても手に入っても、もっと欲しいという状態、引き寄せても引き寄せても、実際にはなにも得ていないのと同じくらい満たされていないという状態から抜け出せないはずです。なぜなら、欲望とはそういう性質のものだからです。

  

merciful.hatenablog.com 

この記事の補足になりますが、なにが問題なのかと言いますと、「願望」というものに焦点が置かれているということです。願望そのものはどんな人にも多かれ少なかれあるでしょう。しかし、こうした願望実現法を知って実践してみようという人はおおむね意識レベル125で計測される「欲望」のアトラクターフィールドの影響を強く受けていて、そのため彼らが求めるものは、物質的な豪華さであったり肉体的な快楽であったりという、いわば即物的な願望です。また、こうした願望実現法を説く側のメンタリティーも同様であると言えます。ゆえにこのような本ではいかに欲しいものを手に入れるかについては書かれていても、いかにして幸せになるかにはほとんど触れられていません。というより、願望が実現されること=幸せということが、こうした人々にとっては疑いの余地のないことなのですが、より高い意識レベルから観察すると、そうではないことが一目瞭然になります。

 

意識レベルが250に到達すると人生の視点は「満足」となります。このレベルを超えると、願望に執着はなくなり、また願望そのものも単なる自己満足からより全体の幸せを願うものへと変化していきます。そのような人はもはや「願望実現法」などというものの力を借りてなにかを手に入れようとは思わなくなるはずです。そしてさらに意識レベルが上がっていくほど、その内面の投影として、現実はより調和のあるものへとシフトしていきます。前回も掲載しましたが、ホーキンズ博士の意識のスケールの図表を載せておきますので参考にしてください。

 

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例のごとく前置きが長くなってしまいました。

 

さて今回は、それではわたしたちには現実を変える力はないのか? ということについて考えてみたいと思います。先に結論を述べますが、わたしたちは現実を変えることができます。それどころか、どんな瞬間もつねに、新たな現実を創造し続けています。人間にとっての現実とは、「これまで生きてきた過去があり、その過去の結果としての現在をいま経験している」という認識のことです。わたしたちは過去は不変であると考えています。過去を変えることはできないので、いまのこの現実がこういう現実であることは致し方ない、とも無意識的に思っています。

 

しかし、過去がどんなであれ、いまこの瞬間に、わたしたちは考え方や行動を変えるという選択をすることができます。考え方や行動の仕方を決めているものは「信念」です。なにを信じているか、ということですが、それは「現実がいまこのようであることを信じている(本当は信念が先にあり、それが現実に投影されているのですが)」ということでもあります。ですから、信念が変わるということは、現実についての別の見方を採用するということにもなります。信念を変えることがない限り、人生は既存の信念体系に沿って進行していきますから、やってくる未来も過去のパターンと食い違いのないものにならざるを得ません。これを図で表してみましょう。

 

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ほとんどの人は、自分の人生についてこの図のように「この(黒い実線の矢印)過去を生きてきたことで現在がある。したがって、これからもこの過去の行く先(緑色の点線の矢印)を未来として生きるだろう」という認識をもっているはずです。過去にも未来にも可能性は無限にあるはずです。しかし実際に自分が生きられるのは、そのうちの一つの過去と、それに矛盾しない一つの未来だけだ、という具合です。

 

ここでパラレルリアリティという概念を紹介したいと思います。この概念を理解する前提として、「時間は人間の知覚がうみだした幻想(錯覚)である」ことが腑に落ちる必要がありますが、この記事ではそのことには深入りせず、パラレルリアリティについて知っていただくだけにとどめておきたいと思います。

 

パラレルリアリティ(並行現実)とは、わたしたちが経験している現実以外にも、可能性としての無限の現実が、同時に並行して存在しているという考え方です。

 

パラレルワールドという言葉がありますが、こちらはこの世界と並行して、ほんの少しずつ違った別の世界がいくつも存在しているのではないか? という考え方です。パラレルリアリティがパラレルワールドと異なるのは、世界が多数存在するのではなく、この世界に存在するすべての人にとって現実が無限に存在するという点です。

 

パラレルワールドの考え方ではあくまで世界が主体であり、ひとつの並行世界においてその住人はたった一つの現実を共有しているということになってしまいます。

 

しかしパラレルリアリティでは、人の数だけ現実があり、そして一人ひとりの現実がさらに無数に存在するということになります。ある人の現実に存在する別の人にとっても現実は無数にあるということになりますから、無数に存在する現実のさらに内側に無数の現実が入れ子になっているという複雑な構造になります。こうしたパラレルリアリティの構造については、ここではこれ以上は述べません(わたしにも述べられません)。この記事では、パラレルリアリティの概念を採用すれば現実への認識がどのように変わるか、変えられるか、ということについて書いています。

 

ここで、ミラ・ケリーという人の 

前世を超えて ― 並行現実、同時存在による癒し、変容

前世を超えて ― 並行現実、同時存在による癒し、変容

 

という本の一文を引用します。(一部、わたしの方で太字に変えています)

 

わたしたちが人生を創造する唯一の瞬間は、現在です。あなたが現在と過去の両方にアクセスできるのは「今この瞬間」であり、ここにおいて望む変化を作り出すことができるのです。あなたの持っている信念を「今」変えれば、細胞組織やエネルギー・フィールドにも変化が起こり、過去にも同様のことが起こります。現在の感情的な問題やネガティブな信念が解放されれば、過去にも影響を与えます。つまり、過去のある時点で存在していた精神的、肉体的な構造が変わるということです。その結果として、現在の問題が解消されると同時に、新たな過去がつくられるのです。現在の瞬間に新しい過去を選ぶというわけです。その新しい過去には問題は存在しませんし、あったとしてもよりマイルドな形で経験できるでしょう。

 

このような考え方が新奇であり、理解するのが困難であれば、原因と結果の観点からも説明してみたいと思います。現在のあなたが何か変わったとするならば、原因は唯一、過去に何らかの変化があったからということになります。ある特定の現在の原因となり得るのは、特定の過去だけだからです。現在が変わることは、自動的に新たな過去へと変わったことを意味します。というのも、その過去だけが新しい現在をもたらせるからです。


ミラ・ケリー『前世を超えて 並行現実、同時存在による癒し、変容』 第3章 すべての選択が新たな現実を創出 より引用

 

 ミラ・ケリーは『現在が変わると過去も変わる』と言っているわけですが、これは現在の信念が変わると、過去に起きたことの解釈も変わる、というような意味ではありません。もちろん、その意味で過去が変わるということもあり得ますし、それも含まれるのですが、ここで言っているのは『記憶そのものが変わる』ということです。そんな馬鹿な!? と思われた方が大半でしょう。しかし、もし仮にそのようなこと、つまりあなたが変わったことによって、それ以前の記憶(=過去)が書き換わったというようなことが実際に起きていないということを証明することはできないのです。

 

ここで『世界五分前仮説』というものを紹介します。すでにご存じの方も少なくないとは思いますが、まずはこちらのWikipediaの記事をご覧ください。

 

世界五分前仮説 - Wikipedia

世界が五分前にそっくりそのままの形で、すべての非実在の過去を住民が「覚えていた」状態で突然出現した、という仮説に論理的不可能性はまったくない

 

つまり、わたしたちの世界が五分前にはじまっていないと証明することは不可能であるという話です。この概念はある種の思考実験なのですが、ミラ・ケリーが述べているのはまさにこのことなのです。これを分かりやすくするために図表を用意してみました。

 

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さきほどの図にすこし手を入れたものですが、現在において人の信念が変わるような出来事(重要な気づきや深い反省、後悔、絶望など)が起きた時、その人が未来において行う選択は、これまでの過去のものとは違ってくるでしょう。つまり、この時に未来は変わるのです。この図では左側の緑色のゾーンが未来における可能性の全体を表しています。色の薄い方の矢印は、この時の信念の変化がなかった場合、既存の過去の延長としてやってくる未来です。

 

しかし、現在において信念が変わり、その結果として選ぶ未来が変わりました。これが左上方向へと伸びる色の濃い矢印です。ここでミラ・ケリーの『ある特定の現在の原因となり得るのは、特定の過去だけ』という言葉を思い出してください。つまり、現在において変化があったとするなら、それはそのように現在が変化するように『過去が変わる必要がある』ことを意味しています。つまり、現在が変わるとき、過去と未来も同時に、新しい現在と整合性のあるものへと書き換わるということです。

 

そして、このような書き換わりが起きていないということを、あなたは疑えないのです。なぜなら、未来はまだ起きていないので変わったかどうか分かりませんし、記憶そのものが書き換えられてしまえば、以前の過去のことはもう覚えていません。あなたはいつだって自分の人生のストーリーを思い出せますが、そのストーリーの内容は思い出すたびに違っているかもしれないのです。そういうと「いや、でも去年だって同じことを思い出したし、何年も前にこうして人生を振り返った時も同じストーリーだった」と反論したくなるかもしれません。でも、書き換えられた新しい記憶の中に、「過去になんどかこのストーリーを思い出す機会があったという記憶」が書き込まれていたとしたら、どうでしょうか?

 

いずれにしても、このようなことが起きるのは、最初の図に書きましたように人間は時間を線型的にしか知覚できないからなのです。つまり、いま現在こうである原因は過去こうであったからで、いま現在こうなのだから、未来はこうなるだろうという整合性のある因果関係しか、人間は現実として知覚できないということです。そのため、現在においてその人が変わった(信念が変化した)ときには、その新たな信念を生み出すに至る過去が用意される必要があるのです。でも、真実においては経験していない可能性の現実と、体験した現実との間に違いはありません。ですから無限のパラレルリアリティはすべてほんものの現実なのです。

 

意識レベルが高まっていくと、おぼろげながらも、過去が書き換わったことに直感的に気づいたり、現実の中にその痕跡らしきもの(シンクロニシティやある種のシンボルなど)を発見するようになります。夢の中に、別のバージョンの過去を見ることもあります。

 

パラレルリアリティを知り、この概念を活用するために、わたしたちには何ができるでしょうか? それは、「いまこの瞬間」に深く入っていくことです。あなたの目の前のその現実は、あなたが世界や他者やあなた自身をどのように見ているかの投影です。つまり、それがあなたの信念体系です。いまこの瞬間にあるものを注意深くみていくことで、自分がどのようなものを信じて受け入れているかが分かってきます。自分の信念体系に気づけば、それに変更を加えたり、あるいはまったく一新することも可能になります。そして、未来も過去も可能性は無限です。いまあなたが思い出せる過去のストーリーからはとても考えられないような未来も選ぶことができるのです。〇〇だから無理だ、とか、いままでずっと△△だったからこれからも△△だろう、という思い込みをまず疑ってみてはどうでしょう?

 

ただし、前回の記事で書きましたように、いずれにしても人生がどういうものになるかは意識レベル次第です。信念を変えればたしかに未来も過去も変わりますが、より意識レベルの高い信念にアップデートしていかなくては意味がありません。そのためには、ホーキンズ博士の『パワーか、フォースか』を何度も読み、それぞれの意識レベルがどのような信念によるものかを学ぶことがもっともおすすめできるエクササイズです

 

ポイントはいつでも、『分離的か統合的か』にあります。『自己中心的か調和的か』と考えてもよいでしょう。これをお読みのたった今にも、あなたの過去が書き換わっている可能性があります。